向こう。
「凪、どうした?」

俺の行動を不審に思ったのか、舞瀬が振り返った。

「ごめ…俺、あんま見られんの、慣れてない……」

「いつも見られてるのにな?
そんな鈍感なとこもいいんだけどね。
ま、大丈夫。
すぐ慣れるって。」

「…全然そんな気、しない。」

深く溜め息をしたと同時にチャイムが鳴った。
俺は逃げるように人だかりを抜け、席に戻った。

授業が始まって、俺は休んでいた分のノートを取りながら授業を受けた。
教師の話し声と黒板を叩く音だけが教室に響く。
何もおかしい所は無い。
しかし俺にはいつもと違うものがあった。

「……」
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