向こう。
舞瀬のノートは、凄く分かりやすかった。
ムダに色を使わず、大切な語句はちゃんと目立つようにしていて。
教師が言ったこともしっかりメモされている。
なにより、字が綺麗だった。

「いつも授業中は寝ちまうんだよな。
これでも頑張ったんだぜ?」

「舞瀬はそれでも成績良いから、羨ましいよなー。」

周りからそんな声が飛び交った。

「ノートは、分かりやすかったよ。
…じゃあ俺はこれで……」

再び出来始めていた人だかりから抜けようと、踵を返したが、それは無意味だった。
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