恋は突然に
欲しかった本を購入して、ウキウキした気持ちで書店を出た私たちは、さっきの出来事をすっかり忘れて、どこかでお茶しながらさっき買った本の中身について語り合おうと、話しながら歩いていると



ーーーードン!



誰かにぶつかってしまった。



本の話しに夢中になり、前をよく見ていなかったのだ。



「あっ、す、すみません」



勢いよくペコリと頭を下げ、その後顔を上に向けると



ーーーー!!



さっきの中学生の…あ、あの怖い雰囲気の…



「エーーーーッ!!」



私は顔が引きつり、声も上擦っていた。



「…ったく!うっせぇなあ、いちいちびっくりすんなって」



「ちょっとお前、来い!」



「ヘッ!?」



私はいきなりまた腕を掴まれて、このおっかない中学生に引きずられて行く。



「キャー美咲ー!!た、助けてェ~!」



「ま、真菜~!」



必死で掴まれた腕を離そうとしても、彼の力は強くて、なすがまま彼に引きずられて行く。



すれ違う人は何事かと、皆、怪訝な顔で見つめてくるが、そんな周りの事には見向きもせず、コイツは私の腕を掴んだまま、ズンズンと歩く。



ちょっと通りから入り込んだ公園のベンチに、私を連れて来て座らせた。


まだ、腕は掴んだままだ。



「ちょっ、ちょっと!離してョ!痛い!」



「あっ、ごめん」



素直に謝り、私を掴んでいた手を離した。



ちょっと、あまりの素直さにあっけにとられてしまった。



私はポカ~ンと口を開けたまま、彼の顔を見上げた。



「何、マヌケな顔してんだよ」



「マ、マヌケって、アンタ!仮にも、私は高校2年で、中学生のアンタより年上なんだからね!し、失礼な!」



「し、しかも、な、なんなのよ!突然、こんなとこまで無理矢理ひっぱって来て、何するつもりよ!」



私は一気にまくし立てた。



フン!こ、怖くないんだからね!



「…で、それだけか?」


「は?」



「言いたい事は、それだけかって、聞いてんだよ」



「ーーーーっ!帰る!」


私はムッとして、ベンチから立ち上がろうとすると、私の肩を両手で押さえて動けないようにしやがった。



「なっ、何すんのよ!だ、だから…何なのよ!」


「お前…俺と付き合え」


「はっ?」


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