不器用な君等の唄へ
帰り道、外気の寒さに思わず身震いする。
身を竦めた透子に、手を差し出す。
「何。」
「手。」
単語のやりとり。
でも、手を差し出すのを躊躇している。
「なんだよ?」
「来る時、手繋ぐ前に静電気起きたじゃない?あれヤダ。」
「指先で触れたからだろ。」
んー、と考える透子の手を取る。
勿論、静電気は起きない。
手袋をしていない手は冷たかった。
「プレゼント、手袋にしようか?」
「いらないよ。絶対につけない。」
「手冷たいだろ。」
白い手がもっと血色が悪く見える。
「それより…。」
透子を見た。
「雪比良栄が欲しい。」
思わず目を見開く。
「なーんてね。」
いつもの調子で肩を竦めた。
「…やるよ。」
俺は笑って答える。
…全部くれてやる。
SS。クリスマス一週間前彼女は俺にこう言った。
END.