不器用な君等の唄へ
あたしは部室に帰る。
扉を開けると、高橋がいた。
「陸上終わったの?」
「はい、さっき。」
こちらを振り向いて、答える。
廊下より部室の方が少しは涼しい。
でも、廊下より暑い外で走り回っていた高橋は偉いとさえ思った。
「佐々木さん、お帰りなさい。どうでした?」
轟が高橋の陰からひょこっと覗く。
あたしは味方の轟の隣に座り、「あのね」と話し始める。
「うちの別荘で合宿しよう。」
笑顔で言うと、ガタンと透子が椅子から落ちそうになった。
それを慌てて助ける栄。