不器用な君等の唄へ
Ⅳ
夏といえば、花火。
夜は生温い空気が漂っている。
海も近くにあって、潮の香りがした。
…あ、いた。
砂浜の上に裸足で座り込み、うずくまる姿。
「音宮。」
呼びかけるけど、肩を上下にさせて苦しそうな息が聞こえる。
過呼吸になっている。
背中をさする。
「落ち着いて息吐き出せ。」
「…無、理。」
しょうがない、と抱き寄せて唇を重ねて、空気を送り込む。
「…ん、」
ビクリと逃げそうになる肩を押さえた。
唇を離して、肩で息をする音宮は苦しそうだけど過呼吸は治ったらしい。