不器用な君等の唄へ







夏といえば、花火。

夜は生温い空気が漂っている。

海も近くにあって、潮の香りがした。

…あ、いた。

砂浜の上に裸足で座り込み、うずくまる姿。

「音宮。」

呼びかけるけど、肩を上下にさせて苦しそうな息が聞こえる。

過呼吸になっている。

背中をさする。

「落ち着いて息吐き出せ。」

「…無、理。」

しょうがない、と抱き寄せて唇を重ねて、空気を送り込む。

「…ん、」

ビクリと逃げそうになる肩を押さえた。

唇を離して、肩で息をする音宮は苦しそうだけど過呼吸は治ったらしい。



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