不器用な君等の唄へ
なんと、まぁ。
確かに母親の血を多く受け継いで、綺麗な顔をしている透子に…。
「モデル…。」
「いや、レコードの方。バンドがスカウトされたの。」
すぐさま突っ込む透子。
あぁ、バンド。
納得して考える。
「…で?どうするんだ?」
言いにくいわけだ。
多分、この南街に大きいレコード会社はない。
都会の方だろう。
もし、バンドがその話に乗るというなら…
「チャンスは逃したくない。」
南街から出て行くことになるだろう。
俺と未恵が出会って恋をして。
透子が産まれ育って葛さん達と家族になって。