不器用な君等の唄へ
アフターソング。
「ねぇ?」語尾が上がったその声に彼女の顔を見た。
メニューを指差している。
「あ…決まった。」
「すいません。」
近くを通るウェイトレスに声をかけて、注文する。
今日は久々に透子(トオコ)と映画に行った。
透子が幼い時も何度か行ったけど、本人は多分覚えていないだろう。
「…楽しかったか?」
見たのは、結構な恋愛映画。
周りは殆どカップルばかりで、正直な話、いたたまれなかった。
「すごく楽しかった。」
…援交か何かに間違われないと良いけどな。
まぁ、笑う透子を見ればそんなのはどうでも良くなる。