不器用な君等の唄へ
軽音楽部を引退したら、ヒロナさんはフラオブを止めてしまう、と奏から聞いた。
「スランプですか。」
「違いマスヨ。」
箸を置いて、頬杖をついた。
「あたしさぁ、知ってると思うけどお金持ちの家の娘なのヨ。」
「…夜の繁華街では有名ですから。」
「だから、フラフラずっと遊んでもられないの。高校も我が儘言ってこっちに来たし、夜遊びにも口出さないで貰ってる。」
この人、意外に苦労人なんだ…。
相槌を打つ間もなく、ヒロナさんは話す。