不器用な君等の唄へ
常に不機嫌ではあるけど他人に危害を加えるなんてそうそう無いと思っていた。
ただの親バカだっただけかもしれない。
片親だからといって、甘やかして。
「私が行くよ?仕事抜けられる?」
葛さんは心配げな声で電話をくれる。
「いや、俺が行くよ。」
もしも俺の育て方に問題があるのなら、俺が悪いことになる。
中学の靴箱まで入ると、もう授業なのかすごく静か。
「透子の…お父さんですか?」
聞き慣れない声が聞こえて見ると。
見知らぬ、でもどこか知っているような女子生徒と男子生徒が立っていた。