不器用な君等の唄へ
Ⅲ
「野田妃芽。」
「はい。」
あ、ヤギさんの彼女。
「矢祇流星。」
「はーい。」
ふざけたように伸ばすヤギさんに、先生は苦笑。
「佐々木紘波。」
「はい。」
ちょっと緊張しているみたいな佐々木さん。
「雪比良栄。」
「はい。」
どうにか間に合ったらしい雪比良先輩。
「音宮透子。」
「…はい。」
そんな雪比良先輩に笑いをこらえている音宮先輩。
「以上、卒業生…。」
すすり泣くような声が聞こえる。
死んでしまうわけじゃない。
でも、日常と化していたその一部が今、もう手に出来なくなっていく。