不器用な君等の唄へ

それは拍手の根元。

窓から顔を出している人や裏庭から手を振ってくれる人もいる。

「すげー…。」

高橋くんの呟いた声に頷く。

拍手の中に、青の姿が見えて手を振った。

「本当にねー…、轟は入りたてはまだ楽譜も読めないし。高橋はドラムの叩き方何もわかってなかったのに。」

佐々木さんはどこか遠い目で空を仰ぎ、

「成長成長。」

と言った。

あんまり部室に来なかった佐々木さんだけど、とても沢山の人のことを見てる。

「やりたかったこと、先越されたな。部長?」

ヤギさんは雪比良先輩を見る。



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