◆ 少年よ、大志を抱け!
「あら、この子かしら。皆川 ハルって…」
お蝶婦人はジリジリとハルに詰め寄り、
その汚いとも美しいともいえない…
いや、強いていうと美しい寄りの顔をしかめる。
ハルは突然の奇襲に
ちょっとビビっているようで
完全に引き腰だ。
「あの、なんすか、…俺になんか用ですか」
「声は予想外にイケてるんだけど……なんていうか、こう…コレがダサイわね」
身なりがダサくても
やっぱりあの声はクるらしい。
お蝶婦人は一旦声を褒めて、
しかしやっぱり一番気になるメガネを指で弾いた。
「ちょっと取ってみなさいよダサ男っ」
「そうよ、取ってみなさいよっ」
お蝶婦人が腑に落ちない様子だからか、
取り巻き達がハルをまくし立てる。
「いや、それはちょっと…」
ハルが少し困ったように笑うと、
今度はクラスの女子達が立ち上がった。