Wissenschaft vs. die Magie
「怖気づいたか」

ふと。

全ての終わりを導くような破壊力の渦に圧倒されていたルドルフが、そんな事を呟いた。

「俺を目覚めさせるなどとほざきながら、己の犯した業の深さに恐れをなしたか…だがそれでいい…貴様は戦士ではないのだからな」

何故そんな事が言えるのか、私にはわからなかった。

こんな状況下で、どうしてそんな余裕を保っていられるのか、理解できない。

「貴様は科学者だ。無限の可能性を秘めた『科学の申し子』…増長せず、己の作り出すものにもまた『業』を犯す危険性がある…それさえ理解していればいい…そうすれば、我が妹のような悲劇が繰り返される事もあるまい…」

何よそれ…。

何でそんな諭すような事言うのよ…。

まるで『それ』を私に教える為に、ここで死ぬみたいじゃない…!

「ふざけんじゃないわよルドルフ!死なないでよ!」

何故か、涙が溢れた。

この世界を滅ぼそうとした異世界の男が、今にも破壊の渦に消し飛ばされそうな姿を、霞む瞳に焼き付けようとして。

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