Wissenschaft vs. die Magie
時空の歪みによって開いた入り口から、偶然迷い込んでしまったこの世界。

初めて乗る列車で、時刻表も地図も持たずに、よくわからないまま途中下車したようなものだ。

どうやって帰るのかもわからない。

仮にもう一度、私とルドルフが重力を衝突させて時空の歪みを作り上げたとしても、今度はまたどこへと飛ばされるのやら。

まさしくお手上げ。

「……」

私は上体を起こし、ほぅ…と溜息をつく。

不幸中の幸いは、この世界が比較的平穏で、戦争や内戦などとは無縁のようである事だった。

上空をゆっくりと飛行するのは飛空艇。

その横をかすめるように飛ぶのは…。

「あれは飛竜だな…竜種の亜種だ。肉食で、人間も食らう」

ルドルフが何でもない事のように言う。

前言撤回。

満更平穏でもなさそうだ。

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