Wissenschaft vs. die Magie
根を詰めるのは良くないと所長は言ったけれど。

研究中の私は限度を知らない。

事実、それから一週間、私は碌に睡眠もとらずにスーパーコンピュータの前で研究に没頭した。

理論も機材もほぼ完成している。

あとは時空転移装置の複雑な計算式を完成させるだけ。

毎夜私のラボから聞こえてくる高速鍵打の音。

休み無く働かされる並列式スーパーコンピュータの起動音が、せわしなくカリカリと響く。

そして、スーパーコンピュータの方がいよいよ音を上げようかという一週間めの朝。

私は遂に高速鍵打する指を止めた。

計算式の完成。

理論、機材、計算式共に、時空転移装置は完全なる状態に仕上がったのだ。

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