Wissenschaft vs. die Magie
赤く染まっていた。

まるで夕暮れにでもなったような、赤々と染まる街。

無論夕暮れにはまだ早い。

市街を赤く灯しているのは、舐め尽くすような炎。

戦火と言ってもいい。

建物を焼き、車を焼き、街路樹を焼き、人々を焼く。

その炎が戦いによってもたらされたものだと言うのなら、それは紛れもなく戦火に他ならないだろう。

その戦火の中で今尚。

「!」

爆発が起き、一台の戦車が残骸と化す。

後退しながら対空砲火を仕掛ける別の戦車。

それすらも、上空から飛来した石の槍によって車体を貫かれ、車内の兵士が逃れる間もなく爆発炎上する。

援護するように飛翔してきた数機の戦闘機。

しかしそれさえも、ミサイルの一つを発射する暇も与えられず、空中で交錯した『何か』によって主翼を両断され、火を噴きながら墜落していった。

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