Wissenschaft vs. die Magie
時空転移装置。

その操作盤の前に立ち、私は手際よく必要数値を入力する。

ラボいっぱいにまで配置された数々の機材、配線、電極。

それらに取り囲まれるように中央に配置されている、10メートル四方の強化アクリル製ケージ。

起動が成功すれば、あのケージ内に『召喚されたもの』が姿を現す。

ただ現段階では、この時空転移装置で『何が召喚されるのか』までは特定できない。

極端な話をしてしまえば、数年前に時間跳躍理論の第一人者である双葉へきる博士が、実験中に歴史上の人物を誤って召喚してしまったという事件があった。

勿論事件自体は世間には非公式なのだけれど。

この時空転移装置には誤作動の確率はないにせよ、予期せぬ者を召喚する可能性は十分に有り得るのだ。

強化アクリル製ケージはその為のもの。

このケージならば、まかり間違ってティラノサウルス・レックスを召喚してしまったとしても、突破する事は不可能なシロモノだった。

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