短‐雨が嫌いな理由
―雨って、結構好きなの。濡れるのはちょっと困るけど、音は落ち着くし、みてると安心するの。―
あいつが、よく言っていた。
俺は、あいつがそう言う度に否定した。
俺は嫌いだ、と。
ただ、あいつのことは、ほんとに大好きだったんだ。
明るくて、美人なあいつ。
でも、時折みせる寂しそうな表情が気になった。
幼い頃に両親が離婚した。
あいつを引き取った父親は仕事が忙しくて。
あいつは家でいつも一人だった。
一人は嫌だと、あいつは付き合ってしばらくたった時、俺に呟いた。
俺は、その時あいつを力強く抱き締めた。