短‐雨が嫌いな理由
『……バイバイ。』


そう言った俺。
あいつは、泣かなかった。

でも、わかってた。
あいつは強がってただけ。
なのに、俺はあいつを置き去りにした。

あいつは寂しがり屋だと、わかっていたはずだったのに。

どうして俺は、あいつを一人ぼっちにしてしまったんだろう?





『なんか、私の事わかってくれてるみたいで嬉しいなぁ。』

雨が降ると、雨が大好きなあいつは俺ん家にくるなり、窓を開けて10分くらいボーッと眺めていた。

だから、雨の日にあいつが家に来たら、俺はすぐ窓を開けに行くようになった。

そうする度に、あいつは嬉しそうに微笑んだから。
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