蒼く純粋な蛍

水道に行って、水で傷口を洗い流す。
そしてもう帰ろうと振り返ったとき、
男が駆け寄ってきた。

「ほんまにごめん。
俺、原付慣れてなかってん。
女の子に怪我させるなんて最低やな…」

唇を噛みしめ、悔しそうに下を向いた。

「あたしもぼーっとしてたから悪いし。
それにもう、大丈夫ですから」

冷たくそう言い放った。
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