蒼く純粋な蛍
「どこ行く?」
男はあたしを歩道側に引き寄せる。
「…どこでも」
心の蟠りが残っていたあたしは、どこかで緊張していたのかもしれない。
「じゃあ、ここにするか」
そういって男が指さしたのは、まだ新しいファストフード店だった。
男の提案にあたしは頷き、店内に入っていった。
店内は、がらんとしていた。
子供連れの夫婦も居なければ
イチャイチャしているカップルも居ない。
あたし達二人はどう見えるのだろう。
そんなことを思っていた。