隠す人
*
二宮惠一の自宅は、都心にほど近い住宅街の、マンションの一室だった。
対面式キッチンのついた、小奇麗な2LDK。
二刑事が二宮の自宅マンションに到着したときには、既に捜査班が初動捜査に取り掛かっていた。
二人は現場の状況を一目見て、頭の中で同じ事を考えた。
(ウチよりきれいだ・・・)
戸棚やクローゼットの扉という扉が全て開けられ、中身が床に散乱しているのに、「乱れている」という印象を受けないのは、部屋の広さに対して持ち物が圧倒的に少ないからだろう。
10畳ほどのリビングには、一人がけのソファとガラステーブル、小さなワイヤーラックがあるだけだった。
この部屋を荒らせと言われても、限界があるというものだ。
二宮は、捜査の邪魔にならないようキッチンの隅に腕を組み立っていた。
原田刑事はまず、美音子から託された任務を果たす。
「これ、社長の奥様から惠ちゃんに預かりました。カナダのお土産、メープルシロップだそうです」
(け、惠ちゃん・・・)
秘書ロボットの顔が、心なしか赤くなっている。
フフフ、こないだのアンパンのお返しだ。
報復を果たした原田は、気持ちよく本題に入る。
「何か盗られた物は?」
「いいえ、何も」
寝室から捜査員が、タイミングよく顔を出した。
「二宮さん、机の上に何かが置いてあった跡があるんですが。パソコンか何か盗られてないですかあ?」
「・・・盗られました」
この物の少なさで、二宮が机上のパソコンの盗難に気づかなかった訳がない。
「二宮さん、あなたなんで一々嘘をつくんですか!このオオカミ少年!」
「こうなったらもう、徹底的に調べさせてもらいますからね」
それはそれで、好都合だった。
自宅侵入事件の捜査にかこつけて、二宮が隠している事柄の一端を見つけられるかもしれない。
二刑事は、慎重に部屋の中を調べ始めた。
二宮惠一の自宅は、都心にほど近い住宅街の、マンションの一室だった。
対面式キッチンのついた、小奇麗な2LDK。
二刑事が二宮の自宅マンションに到着したときには、既に捜査班が初動捜査に取り掛かっていた。
二人は現場の状況を一目見て、頭の中で同じ事を考えた。
(ウチよりきれいだ・・・)
戸棚やクローゼットの扉という扉が全て開けられ、中身が床に散乱しているのに、「乱れている」という印象を受けないのは、部屋の広さに対して持ち物が圧倒的に少ないからだろう。
10畳ほどのリビングには、一人がけのソファとガラステーブル、小さなワイヤーラックがあるだけだった。
この部屋を荒らせと言われても、限界があるというものだ。
二宮は、捜査の邪魔にならないようキッチンの隅に腕を組み立っていた。
原田刑事はまず、美音子から託された任務を果たす。
「これ、社長の奥様から惠ちゃんに預かりました。カナダのお土産、メープルシロップだそうです」
(け、惠ちゃん・・・)
秘書ロボットの顔が、心なしか赤くなっている。
フフフ、こないだのアンパンのお返しだ。
報復を果たした原田は、気持ちよく本題に入る。
「何か盗られた物は?」
「いいえ、何も」
寝室から捜査員が、タイミングよく顔を出した。
「二宮さん、机の上に何かが置いてあった跡があるんですが。パソコンか何か盗られてないですかあ?」
「・・・盗られました」
この物の少なさで、二宮が机上のパソコンの盗難に気づかなかった訳がない。
「二宮さん、あなたなんで一々嘘をつくんですか!このオオカミ少年!」
「こうなったらもう、徹底的に調べさせてもらいますからね」
それはそれで、好都合だった。
自宅侵入事件の捜査にかこつけて、二宮が隠している事柄の一端を見つけられるかもしれない。
二刑事は、慎重に部屋の中を調べ始めた。