隠す人


その頃。

殺人事件の捜査本部が置かれている本青山警察署に、怯えながら近づく、腰の曲がった人影が。

「あのう…西刑事さんはモゴモゴモゴ」

受付に呼ばれ西刑事が出てくると、そこにいたのは掃除婦の小岩節子だった。

藍染の風呂敷を大事そうに抱えて…いや、大事そうに抱えすぎて、目が血走っている。

西刑事を見ると、よろめきながら駆け寄ってきた。

「節子さん?どうかしました・・・」

言い終わらないうちに、節子が西の背中の影に隠れる。

「助けて助けて!殺されるモゴ!」

「節子さん?」






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