隠す人
まずは封がされていないのを一つ、手にとった。
中身は領収証だった。
『お食事代:35万5千円
クラブ・アナスタシア』
・・・なんだこりゃ。
「・・・領収証は、二宮さんに見つからないように経理に回しておくように、という指示でした」
なるほど。
「二宮が飲酒量を管理していて、好きな酒が飲めず恨めしそうだった」という美音子の言葉が、二刑事の頭をよぎる。
名刺も出てきた。写真付きだ。
『今日は、楽しかったです。
今度は社長ご自慢の「けいちゃん」を連れて、また来て下さいね!
マリア』
・・・今のところ、事件とは関係なさそうだ。
・・・なかなか可愛い子だな。
でもお食事代がこれじゃ、俺は通えない。
「捜査」ということで、なんとか経費で落ちないだろーか。
原田刑事が、マリアちゃんに会いに行く算段を一生懸命立てている間に、西刑事は次の封筒を開けていた。
「原田さん・・・これ、見てください」