紙ヒコーキの恋〜短篇〜
足跡
二人のケンカは日が暮れてから終わった。私はその場にずっといたから二人が、何をしてどうしたのか……すべて知っている。二人の顔と心はボロボロだった…『おい翔太。今度手ェだしたらこんなんじゃすまないからな!』と亮太が言うと翔太がすかさず『分かってる。けどあまりにもコイツを大切にしないなら奪ってくから。』といって翔太は家に帰っていった。取り残された私に亮太は、『また紙ヒコーキ飛ばしてやるから安心して寝ろ(笑)』久しぶりに聞いたこの声。懐かしくもなく、さっき聞いたっていう声じゃなかった。だけどやっぱこんな優しい声は久しぶりだった。そんなことを考えてたら涙が出てきた。なんで泣いちゃうんだろう、なんで悲しくなるんだろう。いやこの涙は嬉しくて出た涙なのかもしれない。私は亮太を安心させるために涙を隠した。服の袖で涙を拭きながら、“もう二度とこんなことしないようにするから”って心のなかで誓った。 亮太が私のことどう思っているかわからないけど、私はやっぱこの人じゃないとダメだったんだって改めて実感した。