猫男
城の兵士は地面の上で倒れる。
無傷だが伸びている。
影は何も持っていない。
影は倉庫に入り電気を着けた。
電気をつけると辺りは木製の箱にまみれていた。壁には鍵がずらずらならんでいた。

フックにかかった大勢の鍵達はその影を待ち構えていたように行儀よく整列している。


「今日は…この黄金に輝いた鍵でももっていこう」
彼は王宮の宝と言われている魔方陣を探している。魔方陣さえ手に入れば彼にかけられた呪いを消せると信じている。


『これがこの城の最後の鍵…はぁ…いつになったら、俺のこの顔は元にもどすことが出来るのだろう」

彼は鍵に照らされた自分の顔を見る。
毛におおわれた顔、茶色とピンクのブツブツした鼻、白い尖ったひげ。そして、エメラルドの瞳。

黒いマスクのような模様は目をおおっていている。そのからは白だ。
まるで怪盗のような顔立ちだ。
それは人間ては程遠い顔であった。

動物で言えば猫科の顔立ちだ。

彼は自分の顔を眺め終わるとすぐさま次の行動に移した。
今のうちなら王宮は昼飯の支度をしていると彼は知っていた。

(今日は兵士がいてビックリしたけど、なんとかなりそうだな。問題は奴がいつ起きるか、だ)


彼は積み上げられた箱をどかした。どかしていくといびつな穴がある。彼は細いからだをどうにかしてその穴を通って行く。穴は上のほうに繋がっていた。男は上のほうに手を差しのべ、カーペットを裏返した。


その先は赤いマットが敷かれている廊下の角であった。
廊下はやけに静かだ。赤いマットは雲のような感覚を足に感じられる。目につくのは花柄の細工が施された白い扉だ。ドアのぶは金具でできており、手入れをしているのかどれも傷がなく磨かれていた。

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