猫男
その頃、ナオミは「指名手配を追え」を読んでいた。
各ページには指名手配の写真や模写などが載っており、名前、特徴、犯行、日付等が書いてあった。

なによりも目につくのはタイトルだった。

オラオラ詐欺
鬼切り開きチャック
魔の殺戮少年ベッカー
占いバカおばさん
盗人ハリー

どれもかしこも事件や第一発見者の発言が由来でつけられており、どれもかしこもユニークな名前がつけられていた。


最もナオミがその本のなかで目についたのは「猫の顔をした男『猫男』
」だった。


猫男は各国の王宮や博
物館を不法侵入し世界
から注目されている。
容疑者は歴史に関する
貴重な資料を盗んだ疑
いで現在も行方を追っ
ている。


写真には猫男が帽子のつばをつまみ顔を隠している姿が写っている。猫だという証拠になる部分は隠している帽子の隙間から出ている髭のようなものが写っているだけだった。
上下共々黒の服を着ており、帽子も黒だった。顔はタイトルの通り猫の顔だが、手は人間と同じく五本の指がある。靴もちゃんと履いており人間らしい姿だ。


(あり得ないわ。絶対CGで合成してる。それともつけ髭でもやってるのかもしれないわ。)

そんなことをグルグル頭の中で考えていたら、ドアの向こうの方に鉄と鉄が当たる音がした。
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