猫男
「あら、お父様だわ。」

ナオミは本を閉じ本棚にしまった。
ナオミは頭の中でスミスが分厚いドアを開けているんだろうと考えていた。その後ろに王様がついてきている。いつも迎えに来るときは王様が一緒も来ているのだ。革靴の乾いた音が響いていた。それも一人で。きっとスミスだけ来たのか、しかしスミスはハイヒールを履いている。王様も普段はスニーカーを着用しているはずだ。水虫になって革靴を禁止されているからだ。

革靴は止まる。きっとドアの前にいるのだろう。ナオミは警戒していた。侵入者が入り込んだのかもしれない。侵入者は自分を拉致し、ナオミの引き換えに王様から金を要求してくる。だが金を渡してもナオミは城に帰ることができず、知らない島に流され寂しさを忍んで暮らす。だが、住んで6年目にナオミに素敵な出会いがやってくる。それはそこらへんの王宮の糞王子とは違い自由を愛する男がナオミを迎える。彼等はお互いの愛を確かめ、ハッピーライフを…いやいや今はそんなことを考えている暇はないのだ。緊急事態なのだ。
とナオミは頭の中で呟いた。
彼女は恐る恐る。ドレッサーの丸椅子を持ち、扉の目の前に立つ。


ガチャ


音もたてずにドアが開く。

「誰?」

ナオミは言う。


そこには黒い服を着た黒いテンガロンハットを被った大型の猫がいた。

猫は瞳を見開き軽く口を開けた。

ナオミは口を大きく開けており、眉は上がっている。


猫は失礼しましたといい静かにドアを閉めた。

ナオミはすぐさま意識を戻し開いていた口を戻した。


「まって!」


ナオミはドアを開けて呼んだ。
猫は人間の手の平をナオミに向け静かにするように言う。猫は下の階のようすを耳で確かめていた。


「お嬢さんちょっと入らせてくれないか。急ぎの用事でね」

ナオミが返事をする前に猫はどうどうと部屋に入った。
猫は窓に向かう
足をかけそとを見下ろした。


「落ちたらヒトタマリもないな…」と言い足を戻した。指を眉間に当て考えた。


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