猫男
私は絶対結婚したくないから!

その声は城中に響いていた。城はオペラハウスのような造りをしているのか、その声は響く。声は会議室のそれぞれ閉じたドアの隙間をくぐり抜け、廊下を走った。使いの者や執事たちが振り向く中、声は気付かないまま人々に当たっていく。まるで大急ぎで【速報】の新聞をばらまいている人のように。
まだまだ声は途絶えない。声はトイレで分厚い本を読んでいる老人を通りすぎ、部屋にたどり着いた。声は空気の透き通ったを求め外を出た。だが、残念なことに声は城の宝と呼ばれている大僕に
当たり、吸いとられてしまった。

外では華奢な男が一人。彼だけが
その声に気づいた。

彼は立ち止まり城を見る。そこで彼は何かをを呟く。誰にも聞こえない。
顔は覆い隠されていて、ウエスタン帽を被っている。何だか不気味な感じだ。

ともかく男は何かを呟き去っていった。


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