猫男
ドスッ


彼女はまな板の上に包丁を刺している。


「わかったよ。あたしといたいんだろ?だったらこうしようじゃないか」
とエスターシャははじめて彼の顔を見て笑う。ただ、なにか裏があるような笑いだ。

「なにかやって、あたしを喜ばせることができたなら仕事を休んでお前とあそんでやるよ」

ジョニーは目をまんまるしていた。彼は彼女からこんな条件つきのお誘いがのってくるとは思っていなかったのだろう。ジョニーは少し自信ありげな笑みを浮かべ彼女を見る。手をピストルの形にし、彼女をうつようにバーンと言いながら手振りをした。

「いいのかい?もう今ので結果は見えてるぜ?『かならず君はハートを打ち抜かれるだろう』っていう結果がね」

エスターシャは心の中でうぜえとつぶやいたが、まあ良い物もらえるだろうし勝とうが負けようが自分が得するだけだ。

「いいわよ。でも一言、言っとくわよ。私けっこうわがままだから」

ふふふとジョニーは言った。
「いいでしょう。そのクエストお受けしましたエスターシャ殿。」
と言いジョニーは大急ぎで走っていった。


「まったくバカな男が多くて困るわ」

それを聞いていた客が同情したのか。その話が徐々にエスカレートする。


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