猫男
市場を離れた静かな住宅街が息を潜む。
落ち着いた色をベースにした建物が密集している。
それぞれ個性があり、一件一件の玄関にはいろんな物が置かれている。

アパートらしき建物には花とりどりの花が飾られていた。長く花を植えたり水を浴びたりしたせいか、レンガでコンクリートで出来た壁やレンガでできた床の隙間に丸っこい苔がたくさんはえていた。建物には少々日々が入っているがその隙間から鳥のさえずりが聞こえる。入り口には階段があり下に方に下りられる。おそらく下がっていけば、一面の広い庭があるに違いないとジョニーは考えている。庭の真ん中には噴水があり、そのなかでは苔が生えているだろう。ジョニーにとってその古びたアパートは考えるだけでもワクワクさせていた。もしお金が貯まったらここに引っ越すのも悪くないとジョニーは考えた。

それに隣の床屋も悪くなかった。店主は禿げていたが、きっちり残されている髪の毛を揃えている。顔は穏やかで、愛想のある顔立ちだ。

(ここならエスターシャも喜ぶだろうか…)

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