お前のためなら死んでやる3
少女は否定するレイを置いて帰るわけではなく飴を手に握らせた。
「おてて熱いよ?熱あるの?」
女の子はまだ泣いているレイを抱き締めた。
「“優音”が、側にいるからね。」
レイは少女の名を記憶からなくしていた。
大事なものが記憶喪失のように、苦しみのせいで忘れてしまっていたんだ。
その少女は、レイを抱きしめたまま笑顔をむけた。
「男の子はもっと強いはずでしょ?泣かないでね。」
「うん!もう泣かない!強くなる!優音ちゃんありがとっ。」
その日からレイは俺らに笑顔をむけた。
人はかわれる。
それは孤独を乗り越えたレイを見て知った。
でもかわれたのは、俺らだけじゃだめだった。
そうさ。“優音”って少女のおかげだったんだ。