お前のためなら死んでやる3

XXX


トントントン

錆びた階段を降りる足音が、やけに耳に聞こえた。

ぼうっと考えてしまうのは、最後に見たハルの顔。

涼宮たちの喜びに満ちた顔。


それぞれが感じたあたしの行動は、真逆といっても過言じゃない。


あたしが求めたものは、そこにはなかった。


みんなが心から喜べた時間ではなかった。


ハルと桜咲に復縁してほしいと願ってあたしは、桜咲を連れ戻そうと決意したけど、ほんとにそれで良かったのだろうか。

それで、ハルは喜んでくれた?

ハルの最後の顔は泣き顔にしか見えなかったのに、あたしの言葉足らずな別れでハルを傷つけただけだって、

今さらそんな考えが頭をグルグル駆け回る。
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