君の笑顔が
手の震えを抑えようと
必死で手に力を込めた。
その瞬間、悠人が立ち上がった。
「せんせー。ゆきがまた腹痛いらしんで
保健室連れて行ってきまーす。」
…え?
「なんだ、大丈夫か~。」
先生はゆきを見た。
「顔真っ青じゃが。早く連れていけ!」
「はぁい」
そう言って悠人はゆきの腕を掴んだ。
「…っ」
なぜだか悠人の触れたとこは
かすかに熱を帯びとって
なぜか安心できた。
少しずつゆきは平静を取り戻した。
廊下をしばらく歩くと、
悠人は突然くるっと
ゆきの方に振り返った。
悠人は心配そうにゆきの顔を覗きこんだ。
そして、優しい消え入りそうな
かすれた声で
「大丈夫か?」
と言った。
ゆきは頷くも、
手の震えは止まらんかった。
そんなゆきの様子をみて
悠人はゆきの震える手をギュッと握った。