君の笑顔が



その夜―――。

ゆきは悠人に告白されたこと

悠人を好きなこと

全部、絢に電話で相談した。

絢は、ゆきのことなんでも知っとる。

「過去がどうのこうのじゃなくて

ゆき自身の気持ちを尊重するべきだと

あたしは思うよ。」

絢が力強く言う。

「でも不安だし…。

過去のこと知って、もし嫌われたら…

きっとゆき、悠人のそばにおったら

全部話してしまう気がする。」

あたしがそう言うと、

絢はため息をついた。

「悠人言ったんじゃろ?

なんかあったんなら

いつでも言ってって。

たぶん悠人はゆきになんかあったこと

薄々感ずいてるんだと思うの。

だからね、悠人はゆきが話してくれるの

待ってんだよ。

きっと悠人なら…

ゆきを受け止めてくれるはずだよ…

悠人を信じてあげて。ゆき…」


その言葉に、

胸がキュウッて締め付けられた。

悠人はそんなに

ゆきのことを想ってくれとるの?

そんなにゆきのこと

考えてくれとるの?


なのにゆきは

そんな悠人を信じてあげれんかった…

ごめんね。悠人…。



「絢、ゆき決めたよ。」

ゆきがそう言うと、

電話の向こうで

「よかった…」

と安心した絢の声が聞こえた。



ありがとう…絢…。

ゆきは絢がおらんと

きっとこうやって、

ここにはおらんかった。



絢が、ゆきを支えてくれたんだよ…


今まで、ずっと―――…。

絢が、冷めきったゆきの心に

愛をくれた。


「絢、ありがとう。だいすき」

「あたしだってゆきのこと

だいすき。」


そう言って、2人は笑った―――…。









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