Hello,Nightmare!!
Hello,Protagonist!
I am norml.
夜中二時。そんな夜遅くに、僕の目は突然覚めた。
何故目覚めたのか、なんてはっきりしている。
僕は立ち上がり、窓の外の景色を見やった。
何も、無い。
あるのは、母が植えた赤い薔薇だけ。
何もないとわかっていても、声が耳から離れてくれなかった。
うるさい、うるさい。
僕は両耳を塞ぐ。だが、何故か音はすんなりと耳に入ってくる。
今、僕の耳は女の泣き声に侵されていた。
しくしく、なんて可愛らしいものではない。
悲鳴や嘆き、怒声など全てをかき混ぜたような声。
それでも僕は、はっきりと「泣き声」だと理解したのだ。
声が悲しそうだったから。
何故、悲しそうなのだろうか。
どんな出来事があったのだと言うのだろう。
僕は、泣き声に混じってドラムのリズムが聞こえてきた気がして、振り向いた。
どんちゃかどんちゃかたんたんたん。
どんちゃかどんちゃかたんたんたん。
ピンポーン、とチャイムの音が旋律を奏でる。
思わず聞き入ってしまっていた僕は、慌てて玄関へ向かった。
こんな時間にお客さんかな。迷惑な。
二段飛ばしで階段を駆け下り、一階へ向かう。
「あっ……………………てて」
足を踏み外し、こけてしまう。
とても痛かったはずなのに、傷一つついていない体に驚いた。
ああ、ちょっとは部活で鍛えられたのかな。
首をこきっと鳴らし、玄関へ足を運ぶ。
その時には、泣き声は消えて陽気なリズムが家に響き渡っていた。
夜中にコンサートでもやっているわけでもないし。
何だろう、と疑問に思いながらも扉を開けた。
「はーい、何でしょうか」
「あっ。健くん!」