Hello,Nightmare!!
それは簡単に言うならば、浮いたということ。
何だよ、夢かよ。
暴れようとする僕の体は、途端に動きを失った。
「暴れないで。落ちるよ?」
「ま、こと……っ!」
「落ちるよ」
そう言い争いをしていると、息苦しくなってきた。
嫌な予感がして、恐る恐る下を向く。
ビル、ビル、ビル。
目玉が飛び出るかと思った。
体の自由を取り戻しても、僕は行動を起こす気になれなかった。
「あっぶなーい」
「うぐぁ!」
急カーブ。僕は変な声を発してしまった。
何が危ないのか。むしろ今浮いてる状況が危ないっつーの、と口を開いたら、真琴が指を差した。
その方向に顔を向ける。
ヘリコプター。
それを見て僕が思ったのは、何とも間抜けなことだった。
「どうしよ。僕、パジャマだ」
すると幼なじみはくすくすと笑った。
「大丈夫だって。見えてないんだから」
再び、ちろりんという効果音が付きそうな動きで指を振る。
それと同時に、猛スピードで箒が進んだ。
ああ、僕は実は図太くて諦めが早い人間なのかもしれない。
パジャマとか昨日にするところじゃないし。
それに。
「今、あのヘリ爆発しませんでした…………?」
笑いながらこんなこと訊けちゃってる。
よし、僕は適応力が高い素敵な人間だということにしておこう。