たったひと言。
ばしゃぁっ!!

「きゃあっ!!」


冨永さんの悲鳴がクラス中に響きわたる。

「わー冨永きったなーい!それトイレのみずだよ~?」

「なにかぶってんの?だっさー!さむいでしょ?ほらモップでふいてあげるよ」

「!!やめっ…」

ボフッ…

「うっ……」

また、冨永さんがいじめられてる……

「やめて……っ」


冨永さんの大きな瞳から大粒の涙がこぼれる。

ひどすぎる……

そう思っても何もいえないわたしも同じかもしれないけど…


そのとき、わたしは最も起きてほしくないことが起こってしまう。



「ねぇ、希咲さんも冨永をいじめてよ」



今まではまだ、自分が冨永さんを傷つける訳じゃないから、まだ我慢できた。


でも……


冨永さんをいじめるなんて、できない……


わたしがいえるような権利はないけど……冨永さんは…親友だもん。


今も泣きそうな目をしてこっちを見てる。


わたしは…どうすればいいの…?









< 8 / 19 >

この作品をシェア

pagetop