あの虹をくぐれたら

「へえすごいね、ここ。」



彼女は不思議そうに岩肌をペチペチと叩きながら触った。



岩かどうか確認してしまうほど、それは綺麗に出来ていた。



「とりあえず話でもしよっか。」



「泳ごうよ。」



「え？」



彼女はその場で脱ぎ始めた。



勿論僕の目の前だ。



ち、ちょっと…いきなり





…彼女はしたに水着を着ていた。



ベタ過ぎるオチに僕は思わず溜め息をついた。



「ねえねえ、この水着似合ってる？」



おお



感動した！！



小泉前首相にも負けないぐらい感動した！！



水色で統一された水着は、夏の女性をさらに際立たせて見せた。



神様、ありがとう。



「ほら、早く着替えなよ。」



「あ、ああ。」



僕は衣類を脱いで海パン一丁になると彼女の横に並んで海を覗き込んだ。



「…結構深いね。」



「だな。」



「一緒に飛び込む？」



「一緒には危ないだろうな。俺が先に行くよ。」



「え？」



「じゃあ先行けよ。」



「やっぱり先いって？」



「……」



僕は軽く体をほぐすとピョーンと青く透けるような海に飛び込んだ。



ザパァァァァァァァン



「わぁっ！？飛び込んじゃった。」



彼女はびっくりした表情で僕を見た。



「ぷはっ」



波に揺られながら顔の水を手で拭った。



「どう？」



「おいでよ。冷たくて気持ちいいから。」



彼女は目をぎゅっとつむって海に飛び込んだ。



僕の真横に着水する。



「あぶねぇな。」



「だって海って何があるかわかんないから恐かったんだもん。」



僕の肩につかまりながらそう言った。






僕らが暫く適当にはしゃいでいると、次第に空が曇り始めた。



黒い雲だ。



「なんか曇ってきたな。あがろっか。」