あの虹をくぐれたら
僕は先にあがって彼女をひきあげる
つもりだった。
手をのばしたとき、突然岩場に流れ込んできた強い波が彼女の体をさらっていったのだ。
「きゃっ!!」
「だ、大丈夫か!?」
彼女は岩のでっぱりに手をかけて必死に持ちこたえる。
「今助けるからな!!」
そういったときだった。
ぽつり…ぽつり…
雨だ。
「ついてないな、くそっ」
僕はぐっと手をのばして彼女の手を掴んだ。
「ぐっ…」
このままじゃ僕の体まで持っていかれそうだ。
雨は次第に強くなり始めた。
視界は最悪だ。
よくある恋愛ドラマはここで手を離してっとかいって死ぬっていう設定なんだろう。
「手…離していいよ…。」
は?今なんて……
僕は耳を疑った。
彼女のそういった姿はまさにドラマそのものだった。
離すもんかっ!!
僕は最後の力を振り絞る。
その時、一度だけ波が穏やかになった。
その瞬間、僕は一気に引き上げた。
そしてその体をすぐにくぼみの場所に座らせた。
「大丈夫か?」
「うん…死ぬかと思った。」
彼女はにこっと笑って見せた。
心がなぜか酷く痛んだ。
締め付けられたといったほうが正しいかもしれない。
僕はそっと彼女にタオルをかけた。
「ねぇ、知ってる?」
「何を?」
「人間ってね、三回死にかける目に合うんだって。」
「へえ。」
「私もう三回合っちゃったから死なないね。」
「超人だな。」
「うん。」
彼女はまた笑った。
彼女の顔から笑顔が消えた時…
きっとそれは同時に僕の死を意味している気がした。
つもりだった。
手をのばしたとき、突然岩場に流れ込んできた強い波が彼女の体をさらっていったのだ。
「きゃっ!!」
「だ、大丈夫か!?」
彼女は岩のでっぱりに手をかけて必死に持ちこたえる。
「今助けるからな!!」
そういったときだった。
ぽつり…ぽつり…
雨だ。
「ついてないな、くそっ」
僕はぐっと手をのばして彼女の手を掴んだ。
「ぐっ…」
このままじゃ僕の体まで持っていかれそうだ。
雨は次第に強くなり始めた。
視界は最悪だ。
よくある恋愛ドラマはここで手を離してっとかいって死ぬっていう設定なんだろう。
「手…離していいよ…。」
は?今なんて……
僕は耳を疑った。
彼女のそういった姿はまさにドラマそのものだった。
離すもんかっ!!
僕は最後の力を振り絞る。
その時、一度だけ波が穏やかになった。
その瞬間、僕は一気に引き上げた。
そしてその体をすぐにくぼみの場所に座らせた。
「大丈夫か?」
「うん…死ぬかと思った。」
彼女はにこっと笑って見せた。
心がなぜか酷く痛んだ。
締め付けられたといったほうが正しいかもしれない。
僕はそっと彼女にタオルをかけた。
「ねぇ、知ってる?」
「何を?」
「人間ってね、三回死にかける目に合うんだって。」
「へえ。」
「私もう三回合っちゃったから死なないね。」
「超人だな。」
「うん。」
彼女はまた笑った。
彼女の顔から笑顔が消えた時…
きっとそれは同時に僕の死を意味している気がした。