君の隣の特権




「、ちがっ…」

「じゃあなんで

避けんの?」



苛ついて

もう聞く余裕さえもない



「まじ意味が

わかんないんだけど」




俺がそこまで言うと

望が真っ直ぐに俺を見て言った



「秋…聞いて?」



そう言って

俺の腕を掴む小さな手




その腕を強引に

引っ張って

自分の腕の中に納めたくなる

離れることのないように



「わかったから

離して」



でもそれは気持ちを

無視することになる


だから

離してほしかった



何も言わずに俯く望


はぁ…と、

ため息が零れた



「なんで…そうなの」


いつもは何でもはっきり言う癖に…


俺が恐いのかな…?



「…何、考えてんの?」



できるだけ
優しく問いかけた



「秋、私勝手で

ごめんなさい…」



あぁ…

聞きたくねぇよ…




「私ね、

不安で…だから…」






本当に無理





だって

失いたくない













.
< 32 / 43 >

この作品をシェア

pagetop