君の隣の特権
「あ、直也…!」
いつの間にか
隣に立っていた彼、
長谷部直也ハセベナオヤ
「お前休んでんじゃないの?」
「…?なんで?」
「だって教室来ねぇから」
あっ!;
直也は秋と同じクラスだもんね…
「じゃあ休んでるってことに…」
「…は?」
直也は
意味がわからないって顔をして
私の顔を覗き込んできた
「ケンカでもした?」
「…してない」
直也は怪訝そうに
眉をしかめると
溜め息をついた
それに作り笑いで答える私
「ねぇ直也…?」
「何だよ?」
「秋は
…どんな感じだった?」
「…?別に普通だったと思う」
「…そっか」
「なんか言ってた?」とも
聞きたかったけど
答えは
なんとなくわかっちゃった
きっと何も言ってないよ
「直也ありがと、
じゃあね?」
「…あんま溜め込むなよ」
そう言って私の頭を
ポンと叩くと
直也は去っていった
…そっか
秋は私が休んでると
思ってるかもしれない;
いないことに
気づいてないとか?
…まさかそれはないよね?
頭の中は悪い想像で
いっぱいになってしまった
.