君の隣の特権





放課後




私が秋の教室に

行くことはあのまま

一度もなかったし



ちょっと期待したけど


秋が

私の教室に来ることもなかった




もちろんメールだってない;







「望、

帰らないの?」



真優が問いかける



「ん〜…少し残ってく」



「そっか…

じゃまた明日ね?」



「うん、ばいば〜い」



手を振って

真優がいなくなると

両手を伸ばして

机に突っ伏した





は〜ぁ…



秋と私の家は

方向が一緒だから


今帰ると確実に

会っちゃう…;





会ったらきっと

なんて言っていいのか

わかんないし




自分が

どうしたいのかだって


…まだわかんない






ただ

…別れたくない。





秋が

私のこと好きじゃなくても


私は

秋が大好きなんだよ…








そうだよね…



私、

大事なこと忘れてた…






そう思って

私は起き上がろうとした








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