Gallery-Back Yard-へようこそ!
「あ、そうだ、忘れてた。
リヨン!」


「はい、ヴィンセントさま」


「こいつにオレの服貸してやって」


「ええっ?
いいって、大丈夫だって~」


せっかく忘れてると思ったのに、とぶちぶち零すバレリーにばか言うなそんなキタねぇカッコで食卓に着く気か、などと悪友はのたまってくれる。


「かしこまりました。
バレリーさま、どうぞこちらへ」



「はぁ……、わかったよ」


着替えるのはいいんだけど
ヴィンスの服って着心地が良すぎて落ち着かないんだよねぇ。



「じゃ、オレは食堂で待ってるからな。早くな」


ひらひら手を降ってヴィンセントは行ってしまう。



リヨンに促されるまま
二階へと上がったバレリーは
ゲストルームへと通される。



「ちょっとこちらでお待ちください、すぐお召し物を用意します」


お構いなく、と笑って手を降るとリヨンもにこっと笑って出て行った。



「さて、と……」


とくにすることもないので
窓辺に寄って庭を眺める。



キレイにしてるなぁー、庭師のドニさんはヒマワリ作りが趣味なのかな?


「ヒマワリって言えばゴッホだよね。
絶対いい値がつくと思うんだけどな~」

先日ある画廊で仕入れたばかりの無名の画家、ゴッホの作品はまだ売れる気配もない。


燃えるような赤と橙がカンバスに
縦横無尽に荒くれているが
不思議と暖かさを感じさせるヒマワリの絵。



自分の目に間違いはないと
バレリーは信じている。


父さんから受け継いだんだから、間違いないさね。


そんなことを考えていると
トントン、とノックがされた。
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