知らなかった僕の顔
「森若ちゃんて、人の絵は描かないの?」
彼女の絵の中で、人を描いた絵は一枚も見たことがなかった。
森若ちゃんは、ケーキを呑み込んで言った。
「人物画は…あんまり得意じゃないの。描いてる私のその人に対する気持ちや、対象の人物の内面が、生々しく描き出される気がして、どうも描く気になれないんだよね」
「へえー、そういうものなんだ。今まで描いたことはないの?」
「ううん、授業では何度も描いてるよ。個人的にも前は描いてたけど……たぶんもう描かない」
さりげなく目を伏せた森若ちゃんに、僕はそれ以上のことは聞かなかった。
彼女の絵の中で、人を描いた絵は一枚も見たことがなかった。
森若ちゃんは、ケーキを呑み込んで言った。
「人物画は…あんまり得意じゃないの。描いてる私のその人に対する気持ちや、対象の人物の内面が、生々しく描き出される気がして、どうも描く気になれないんだよね」
「へえー、そういうものなんだ。今まで描いたことはないの?」
「ううん、授業では何度も描いてるよ。個人的にも前は描いてたけど……たぶんもう描かない」
さりげなく目を伏せた森若ちゃんに、僕はそれ以上のことは聞かなかった。