知らなかった僕の顔
僕らがかく汗は、部屋の湿度を上昇させる。


森若ちゃんの流す汗を舐めると、なぜだか甘い砂糖の味がした。


心地良い疲れに、うつ伏せで横たえていると、僕の裸の背中に森若ちゃんの指が触れた。


「何してるの?」
僕が、くぐもった声で聞く。


彼女は何も答えずに、そのまま指を動かし続けた。


彼女の指は、僕の背中に絵を描いていた。


彼女は本当に、どこにでも絵を描いた。



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