知らなかった僕の顔
僕と森若ちゃんは、矢島さんがヤジを飛ばしながら野球中継を観ている横で、もうすぐ始まる日本代表の試合のことが気になっていた。


「やっぱさぁ、夏はビールと野球だよね」
矢島さんが、会心の笑顔で僕に言った。

「あぁ…僕、野球は…あんまりよく知らないんですよね」
僕は、一応遠慮がちに言った。

「えぇ?男の子なのにぃ?」


男の子言うな。


「じゃあねぇ、俺が教えてやるよ」
矢島さんが、酔っ払った目付きで言う。

「うーん…ちょっと、あんまり興味が…」

「俺ね、草野球やってんの」

「あぁ…草野球」

「知ってる?オサムジャパン」

「オサム?…オシム?」

「俺のチーム名。矢島オサムで、オサムジャパン」


この人、オサムって名前だったんだ…。


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