知らなかった僕の顔
僕の隣を歩く森若ちゃんの身長は、ちょうど僕の頭ひとつ分低かった。


痩せた体で独特なリズムをつけて歩く森若ちゃんをよく見ると、彼女はその細すぎる右足をほんの少しだけ引きずっていた。

ただの一時的な捻挫なのか、事故の後遺症なのか、生まれつきのものなのか、いずれにしてもそれが彼女にとって、できるだけ悲しみの少ない出来事とつながっていてほしいと思った。



二人きりになって僕らは、だんだんとおしゃべりになっていった。

森若ちゃんは、さっきとは別人のようによく笑った。

たとえば二人で順番に、思い付く限りのサッカー選手のゴールパフォーマンスを物真似して披露する。

僕が得意とする中村俊輔のフリーキックのポーズに対して、森若ちゃんはカズダンスで応えてくれた。


やけに街灯の少ない物騒な通りに、僕らの笑い声だけがこだまする。


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