知らなかった僕の顔
僕は、彼女が描く絵を見ようとしなくなった。


僕の部屋のそこかしこに溢れている彼女の絵を見ないのは、ひどく不自然なことだった。


けれど、僕の浅はかで幼稚な意地がそうさせていた。

それでも彼女は、いつもと変わらずに淡々と描き続けているようだった。


こんな状況にしたのは僕だ。


すごく矛盾してるようだけど、以前よりもっと彼女を好きで離したくない気持ちが強くなっていた。


勝手にいじけて彼女にそっぽを向いているのは僕の方なのに。


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